【話題】各カメラメーカーのIRから業界を見る(2017年第2四半期)

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 皆さんはIRを見ていますでしょうか? IRとは『株主・投資家向け情報』のことで、カメラやレンズを作っているメーカーが事業レベルで「今期の結果はこうこうで、今後はああしていく。」と宣言をする場でもあるので、今後どうするつもりなのかが理解できる有益な情報源だと思います。

 カメラメーカー、レンズメーカーのシェアは各雑誌で見る機会があると思います。個人的にはこっちのほうが好きでIRしか見ていないのですが、知人に話をするとこういう見方をしている方がほとんどいない事実を知りまして。でもお互いに知らない方面から取得した情報の交換ですからこの会話って最も効率がいいと思います。そこでIRからカメラメーカーの情報を色々書いてみようと思いました。

 好評であれば今後も継続しようと思います。私としてもいつも読んでるものを取り纏めて文書化すればいいだけなので苦ではありませんし。

ニコンのレポート

Photo from ニコン

IRはメーカーの方針が見える

 例えばあるユーザはキヤノンのシステムを贔屓していました。ところがある日「キヤノンはレンズ全然出さないし、出す予定も聞かないし、やる気がないのか」と不満を語っていました。ネットでも2015年頃ちょくちょく言われていたような記憶が。
 実はこのときキヤノンの中期戦略として「ミラーレス一眼市場でトップになる」を掲げていて、戦術として「ミラーレス一眼のボディのシェアをとにかく奪ってから、レンズを順次リリースしていく。」方針をコミットしていたわけです。(レンズのくだりは記載無いけど。)
 そりゃあレンズは出ないはずです。その代わりとにかくミラーレス一眼のボディEOS Mを相次いでリリースしています。毎年出していましたよね、時には年2回とか・・・。

 謎が解けましたよね。なぜレンズを作らないのか。なぜEOS Mボディを毎年リリースして、なぜ型落ちを無茶苦茶な安値で売りさばいていたか。全部方針です。

 このようにカメラユーザー(特にレンズに期待する)は不満な状況でも、株主からすれば「お、がんばってんな!」となるわけです。結局はそこなんです。だからIRを見ます。


IRは丁寧で触れやすい内容

 「株」とか「IR」とか証券用語みたいなのを言われると小難しい数字とか財務とか、そんなんばっかりだと思われているようですが全然そんなことないです。情報の宝庫です。決算短信は確かに小難しいですが、欲しいところだけ読めばいい。
 国内の上場企業は皆同じフォーマットで作成しているので慣れると比較しやすいです。

 特に株主レポートはPDF形式で公開されているので読んでみると面白いです。誰でも理解できるようにかなりやさしく書かれています。


2017年10月時点での状況

・メーカ名の右の4桁の数字は証券コード、その次は調査対象の事業部名です。
 数字は公表値を基に少しいじっています。
・売上、営業利益:年間見通しに置換。2Qは2倍。3Qは4/3倍した。(現実には概ね2.x倍になるが。)
・会計方式(日本方式、IFRS方式)は無視します。
 間違いとかあればご指摘下さい。「こういうまとめ方のほうがよくない?」とか「このメーカ入れてよ?」ってのがあればコメント下さい。


ニコン 7731 映像事業


決  算:3月。 今回は2Qの内容。
売  上:3,504億円(▲1.7%)
営業利益:308億円(4.1%)
レポート:

【一眼レフ】D850リリース。米国が特に一眼レフの販売好調。
【交換レンズ】売上が前年比20%減な状況がもう3、4年くらい続いていたがようやく収束? しかし交換レンズ市場の縮小は継続する見込み。
【コンデジ】高級モデルが好調。COOLPIX W300。
全体:
前期は最終赤字(日本基準)だったが1年で黒字回復予想。カメラ市場の不安払拭の見込みより株価は4年ぶりに2,000円台に回復。
参照:
平成30年3月期 第2四半期 決算短信 – ニコン
第154期中間報告書 – ニコン


キヤノン 7751 イメージングシステム


決  算:12月。 今回は3Qの内容。
売  上:3,606億円(9.0%)
営業利益:522億円(31.1%)
レポート:

【一眼レフ】EOS 6D Mark IIの出荷が順調。
【交換レンズ】減少傾向。-5%
トップシェア堅持。
市場は縮小している認識。
【コンデジ】高付加価値製品のG9 X Mark II が好評。+13%
【プリンタ】インクジェットプリンターPIXUS TSシリーズが好調。+1%
全体:
絶好調。年初から3四半期の増収増益は7年ぶり。3連続上方修正。最収益は前年比75%超の予想。
参照:
2017年12月期 第3四半期 決算短信 – キヤノン
四半期報告書(第117期第3四半期) – キヤノン
2017年第3四半期 決算説明会 – キヤノン


ソニー 6758 イメージング・プロダクツ&ソリューション


決  算:3月。 今回は2Qの内容。
売  上:3,134億円(15.8%)
営業利益:378億円(27.0%)
レポート:

【一眼レフ】αブランド強化中。ボディ、レンズともに年30%増の勢い。
熊本震災の影響により-30億円の見込み。
【その他】(半導体部門)カメラモジュールの一部外販は中止し部門譲渡。
全体:
20年ぶりの過去最高益の予想。ゲーム市場の盛り上がり、半導体、カメラから4Kテレビまで全部が全部笑いが止まらないほど上手くいっている印象。2Q決算で全年比700%超の利益を報告して高騰したが未だPER=17。
参照:
四半期報告書(2017年度第2四半期) – ソニー
Sony IR Day 2017 イメージング・プロダクツ&ソリューション分野 – ソニー


富士フイルム 4901 イメージングソリューションのフォトイメージング部門


決  算:3月。 今回は2Qの内容。
売  上:3,496億円(13.3%)
営業利益:478億円(159.4%)
レポート:

営業利益大幅改善。
【インスタントカメラ】チェキが引き続き堅調。国内だけでなく欧州でも好調。instax SQUARE SQ10, Film。
【一眼レフ】X-T2、X-T20、X-E3、X100Fが好調。
【ミラーレス中判】FUJIFILM GFX 50S好調。
【プリント】店頭プリントのYear Album好調。
全体:
レンズビジネス拡大路線。ミラーレス首位狙う。
カメラビジネスは多方面からのアプローチがすべて順調。
最収益は前年比100%超の予想。「収益構造の改善」と「成長の加速」の目標通り。
参照:
平成30年3月期 第2四半期 決算短信 – 富士フイルムホールディングス
INTEGRATED REPORT 2017 – 富士フイルムホールディングス


リコー 7752 その他(SmartVision)

決  算:3月。 今回は2Qの内容。
売  上:283億円(1.4%)
営業利益:30億円(%)
レポート:
THETA Vをリリースと一瞬触れたのみ。PENTAXの記載なし。
全体:
赤字予想。
参照:
RICOH REPORT 2017 冬号 – リコー
2018年3月期 第2四半期 決算概要 – リコー


パナソニック 6752 アプライアンス社、イメージングネットワーク事業部 AVC

決  算:3月。 今回は2Qの内容。
売  上:-億円(-%)
営業利益:-億円(-%) 決算概要9ページ目を見る限り利益は出ている様子。
レポート:
【一眼レフ】欧州、北米で好調
前期は数億の赤字のようだったが、今期は「収益改善事業」の位置づけ。
今期からデジタルカメラの記載がない。全社的には車載カメラ、セキュリティカメラに注力?
全体:
概ね好調。オートモーティブへのシフトも着々。津賀さんすごす。
参照:
平成30年3月期 第2四半期 決算短信 – パナソニック
2017年度 第2四半期 決算概要 – パナソニック
Annual Report 2017 – パナソニック


タムロン 7740 


決  算:12月。 今回は3Qの内容。
売  上:565億円(-3.3%)
営業利益:32億円(48.7%)
レポート:

【写真関連】不調だが利益は保持。(ちなみにこれって具体的に何?)
【交換レンズ】レンズ5本リリース。
SP 70-300mm VC USD (A030)
10-24mm VC HLD (B023)
18-400mm VC HLD (B028)
SP 70-200mm F/2.8 VC USD G2 (A025)
SP 24-70mm F/2.8 VC USD G2 (A032)
市場の縮小は底打ちの認識。
【ドローン】下方修正したが中長期の見通しに変更なし。
全体:
最収益は50%弱の予想。レンズ交換式カメラは前期⽐12%増。⼀眼レフは前期⽐5%減、ノンレフレックスは前期⽐65%増。
参照:
平成29年12月期 第3四半期 決算短信 – タムロン
2017年12⽉期 第2四半期決算説明会 – タムロン


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